2025年7月7日
とてもお世話になった本③
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とてもお世話になった本③
和歌山市の4-18歳の発達が気になる児童・生徒、知的障がい、発達障がいのある児童・生徒対象のコミュニケーションを学ぶ放課後等デイサービス・児童発達支援のあしたデイズです。
今日は、とある小説のご紹介です。
2002年の発売され、2005年に映画化。
その後、「空中ブランコ」、「町長選挙」と発売され、2023年に17年ぶりに「コメンテーター」が発売された精神科医の伊良部一郎が主人公の初回の短編小説集、「インザプール」。どの作品も秀逸ですが、シリーズ第1作目のインザプールをまず、読んでみてください。
アマゾンの講評では、「第四回大藪春彦賞受賞、「このミステリーがすごい! 」で『模倣犯』に次ぐ二位。注目を集める著者の、待望の刊行です。精神科医・伊良部一郎。彼のもとを訪れる悩める者たちは、誰もが驚き呆れる。「どっちが患者なのか?」。水泳中毒、ケータイ中毒、慢性勃起症状……、患者たちは稚気溢れる伊良部の姿に、己の深刻なる悩みがバカらしくなり、やがて・・・・・・現代世相の病理を、コミカルかつ軽妙な筆致で描き出した怪作」と書かれていました。
一般的な精神科医の治療の方針は、主に診察で、本人の話から、困りごとを推測し、症状に効果的な薬を調整する投薬がメインで必要あれば入院、デイケア、訪問看護といった治療を行うことが一般的かと思うのですが、伊良部の治療は、何かの注射を打つのみ。しかもそれは、自分のフェチを満たすため。
ネタバレになるかもですが、一つ短編を紹介すると、表題にもなっているインザプールという話では、水泳中毒になってしまう心身症の患者には、少しの運動をすすめると、その患者は、プールに行くことを思いつきました。そこからどんどん、プールにのめり込み…
おそらく、その患者は、ASDの特性があり、仕事のストレスから体調不良、結果、心身症という2次障害を患った。治療対象は、心身症ではなく、そののめり込んでしまうという特性にあり、その特性からの仕事に対する姿勢や、プール依存ということに患者に気付かせ、2次障害も治してしまうといったことが絶妙に描かれています。治し方が、薬物でもリハビリでもなく、とても医者がすることとは、思えないようなことで症状が治っていくんですね。
ある意味、あしたデイズが目指すところでもあり、これを狙って、意図しているのなら、これ以上のことはないなと。
文秋文庫から出版されている文庫の表紙もニルヴァーナのNEVERMINDのジャケットを彷彿とされるものでとても素敵。
ご興味おありの方は、こちらから、是非とも。